ちょっとウザイはなし 田添史郎
- 2024.08.31 | コラム
実習生の話題とは違うが、夢の中に数年前に亡くなった母が出て来る事がたまにある。特別に何か虫の知らせとかそんな意味合いでもなく普通に。何ならその残像だけが記憶に残りストーリーは全く覚えていない事が多い。そんなどうでもいい事からスタートの今回のコラムは、人の意識という内容から始める。
最近の外国人労働者のニュースから、「技能実習制度廃止」「育成就労制度新設」の記事をよく見る。技能実習制度については相変わらず母国での実習生が過度な借金を背負い日本へ来る事が失踪の原因となりうるとある。本当にその事が原因ならば新制度で解消出来ているのだろうか?日本人でも大学進学するのに奨学金という制度があるがこれも借金である。金利こそ違うものの大学生の凡そ50%近くが利用している。それでは諸外国から日本へ語学留学している外国人は一体どの程度の借金をしているのだろうか?ベトナムを例にとれば人其々ではあるが手数料は数百万円である。その上、学校以外の時間はアルバイトに明け暮れせっせと学費を稼いでいる。いつの間にか人々の意識は実習生は可哀想という意識になっては無いだろうか?或いは行儀が悪い、治安が悪くなる。そんな不安もあるかもしれない。しかしながら、現在の日本はそんな事を言っている場合では無い事をご理解頂きたい。働いた対価に関しては日本人よりシビアであり、残業時間や出勤、退勤などに時間は全て把握している。なのに日本企業は出退勤の前後30分は切り捨てている企業が殆どだと思う。その習慣は世界共通だろうか?報道では技能実習生を採用している企業の7割近くに労働基準法違反が見つかると言うが大方先に述べた様な内容で、技能実習生に問題がある訳ではない。賃上げを推奨するよりその曖昧な勤怠管理を正す方が先決ではなかろうか。失われた30年の中にゆとり教育という教育方針があったがその成果は現在どうだろうか?無理をせずある一定の生活さえ出来れば我武者羅に働かなくても良いと考えている若い世代の人達が一定数いるのではないか?そんなゆとりと言われる風潮に中で育って来ているので、今更頑張らないと日本はダメになると言う意識はあるだろうか?私は仕事柄、外国人労働者と彼らを受け入れる企業の担当者やその企業の現場の日本人を間じかに見比べる事が出来るが、ハッキリ言って仕事をしてお金を稼ぐという事に関して技能実習生の方がはるかに真剣である。何故ならばそのお金で母国の家族や子供達の生活や、大げさに言えば命に直結するからである。一部の悪質な送り出し機関や管理団体の事を全ての人達がそうであるかの様に記事を書くのはやめて欲しい。そんな記事を書いているライターは実際にどの位取材をし体験してきたのだろうか?私はこの業界で20年程のキャリアがあるが今と昔とでは雲泥差程の違いがある。日本の法律の中でマスコミが報道する様な悪質な問題は一割にも満たないのではないだろうか。しかしながら、その問題を無視にも出来ない。しっかりと問題解決に取り組み正しい報道をし、日本の産業を立て直すべく現在の子供達への教育や意識、これからの日本の事を真剣に考えて行くべき大人達の意識改革を目指すべき。
一番大事な事は「愛国心」である。
田添史郎